2022年 08月 06日
葦毛崎展望台、煙る
今回の海旅のお話、終わりのつもりでした。

でも、もう少し…
というより、やはり、最後まで。

夏泊半島から、八戸へ。
降っているような、いないような、雨に濡れながら、

川沿いを、一人、歩き、考えていました。
心も濡れるような、それはそれで、大切な時間。

屋形船ですね、以前、来た時にはなかった気がする…
そして、八戸の町を抜けて、さらに海へ、

ゴールは、葦毛崎展望台…煙っていました。
この展望台を知ったのは、ちわり闘病中のこと、
当時、青森県の大学病院まで、月に二度ほど通っていて、
検査数値が、一時的に劇的な改善を見せた冬の日、嬉しくて、
八戸のあちこちへ寄り道した、
その時、ここへも、偶然立ち寄りました。
劇的に改善、嬉しくて…と書いたけど、
喜びは、絶望の上で燃えていました。
数値が良くなった理由は、強制給餌に切り替えたから。
はっきりしていました、もう、戻れない。
毎日の輸液、何種類もの薬、その上の強制給餌…
一時的な食欲不振や、病後の養生じゃない、治療できない、
20歳を超えた、腎臓病のちわりが、元気になる日は、もう、ない。
もう治らないんでしょう?と聞かれて、絶句したこともある。
そんな日々の、それでも嬉しくて嬉しくて、この展望台で、
まだ寒いから、春になったら、また一緒に来ようね、
お散歩しようね、ちわり…と、約束しました。

でも、ちわりは、春になる前に、亡くなりました。
治らないんでしょう?と聞いた人は、まだ、一周忌も済まない内に、
ずいぶん経ったから、電話していい~?と連絡して来ました。
「ペット」だから平気で言う…わけでは、案外ない、ですね。
恋人を亡くした女性が、その恋人の両親は、一人ぼっちじゃないからいい、
わたしは、彼を失って一人で悲しんでいる…と書いているのを見て、
なるほど~!って、膝を打ったことあります。
一般論だと、「逆縁が一番悲しいのである」という人が多いでしょう、
でも、その人にとっては、自分が世界で一番悲しい。
親を亡くすことが一番悲しい、旦那が、妻が、
いや、恋愛真っ最中の恋人の方が、それとも大事な友人が…
誰も、自分しか見えないし、他人の悲しみなどわからないし、
そもそも、悲しんでいる人って、実は見苦しく滑稽だったりするし。
涙がぽろぽろこぼれるのは、映画の中だけ、
実際には、鼻水ぐじゅぐじゅ、ティッシュ使いながら、
ちわりの病院代かかるから、ティッシュごときでも節約したい…などと、
頭のどこかで考えていたりします。
誰もわかってくれない、代わってくれない、自分だけが悲しい、
でも、みんな、そうやって、悲しい自分を、滑稽な自分を、
胸にしまい、背中に背負い、普通の顔で、歩いているんですね。

辛い時には、誰かや何かを、頼りたくなるけれど、
救ってくれるエライ人も、奇跡の壺も、そんなもの、どこにもない。
辛いまま、滑稽なまま、なんでもない顔して、歩いて行くしかない。
そして、その勇気がないなら、「愛する」などと言えないのかもね…

猫なんてどうでもいいじゃない、わたしの方がずっと悲しい!
…って、言っていいのよ、
心のバランス崩している人に、迷惑かけられたことがある、
でも、わたしだって、同じだ、
誰にも迷惑をかけず、笑顔で一生過ごせる人なんていない。
ただ、辛いことも、悲しいことも、自分だけのもの、
大切に、自分で持ち続けたい。

今回の旅では、6組、7にゃんのみなさんにお会いしました。
海辺の集落の白黒ちゃん、声だけだったチゴキ崎、十三湖のとらくん、
眺瞰台の先にいたシャム系さんたち、ホタテ食べた近くの原っぱ、
最後が、帰り道のコンビニ駐車場にいた、この子。
雨に濡れてボサボサだし、中々きかん気そうなお顔、こんなふうですが、
好奇心旺盛に、わたしの足元をふがふが嗅ぎ回り、
元気良く、道路と反対側へ、走って行きました。
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